パソコンの資格を取って就職・転職活動で役立てたい、と思っても、資格が沢山あり過ぎて、どれを取ったらいいのかわからない、というご質問をセミナーの場でよく頂きます。
そこで今回は、沢山あるパソコンの資格について、資格の内容や難易度、そして自分に合った資格の選び方をご紹介していきます。
2020年4月より、P検の受験料が変更になるため追記しました(2020年3月)。
パソコン資格の種類と難易度
様々あるパソコン資格の中から、
- Microsoft Office Specialist
- P検
- 日商PC検定
の3つについて「難易度」「実用度」「試験内容」「勉強法」などを比較しました。1つずつ特徴を見比べて、自分に合った資格にぜひチャレンジしてみてください。
Microsoft Office Specialist(通称:MOS)
まず最初にご紹介するのは、Microsoft Office Specialist(マイクロソフトオフィススペシャリスト)です。MOS(モス)という略称で呼ばれています。
MOSの特徴は、タイピングをあまり重視していないという点です。
試験のバージョンにもよりますが、基本的にはマウス操作が主で、文字を入力する部分はごくわずかです。
その特徴から、入力が苦手な方でも合格できる可能性があります。
Microsoft Office Specialist(通称:MOS)試験の概要
MOSは、ソフトごと、オフィスソフトのバージョンごとに試験がわかれています。
現在実施されているソフト及びバージョンは以下の通りです。
試験科目 | スペシャリスト(一般)レベル | エキスパート(上級)レベル |
Word | Word 2016 | Word 2016 エキスパート |
Word 2013 | Word 2013 エキスパート Part1(※) | |
Word 2013 エキスパート Part2(※) | ||
Excel | Excel 2016 | Excel 2016 エキスパート |
Excel 2013 | Excel 2013 エキスパート Part1(※) | |
Excel 2013 エキスパート Part2(※) | ||
PowerPoint | PowerPoint 2016 | ー |
PowerPoint 2013 | ー | |
ー | ||
Access | Access 2016 | ー |
Access 2013 | ー | |
ー | ||
Outlook | Outlook 2016 | ー |
Outlook 2013 | ー | |
ー |
※2013のエキスパートレベルを取得するには、Part1とPart2の両方に合格する必要があります。
ワードとエクセルのみ、基礎的な内容を問うスペシャリストレベルと、更に難しい内容を問うエキスパートレベルに分かれています。
MOSは、本試験に即した内容の参考書がいくつも発売されており、独学でも十分取得可能な資格です。早い方であれば、3週間程度でも合格は可能です。
就職・転職活動のため、少しでも早く資格を取得したい、という方にはMOSが一番おすすめの資格です。
Microsoft Office Specialist(通称:MOS)の受験資格
MOSに受験資格はありません。
年齢・国籍を問わず誰でも受験可能(未成年は保護者の同意が必要) です。また、最初からエキスパートレベルを受験することも可能です。
Microsoft Office Specialist(通称:MOS)の受験料
受験料は、受験するバージョン及びレベルにより異なりますので、自分が受験したいバージョンの金額をご確認ください(金額は税込)。
Office 2016
Word/Excel(スペシャリストレベル) 10,780円
Word/Excel(エキスパートレベル) 12,980円
PowerPoint/Access/Outlook 10,780円
※学割の場合
Word/Excel(スペシャリストレベル) 8,580円
Word/Excel(エキスパートレベル) 10,780円
PowerPoint/Access/Outlook 8,580円
Office 2013
1科目申込 10,780円
2科目申込 21,560円
3科目申込 32,340円
※学割の場合
1科目申込 8,580円
2科目申込 17,160円
3科目申込 25,740円
Office 2010 ※試験の実施は終了しました
Word/Excel(スペシャリストレベル) 10,780円Word/Excel(エキスパートレベル) 12,980円PowerPoint/Access/Outlook 10,780円
2010バージョンの試験は、2020年3月末をもって終了とアナウンスされています。
2010バージョンで受験したい方は、早めにご検討ください。→ 終了しました。
学割の利用には規定があります。詳細はMOS公式サイトでご確認ください。
Microsoft Office Specialist(通称:MOS)の受験日程
受験日程には、全国一斉試験と随時試験の2種類があります。
それぞれ、開催される回数や申し込み方法が異なります。
受験料はどの試験でも同じです。
- 全国一斉試験:1月~12月の間に毎月1回実施(2・3月のみ月2回)
- 随時試験:全国約1700の試験会場で、試験会場ごとの日時で開催
全国一斉試験は、その名の通り日本全国で同時に試験をおこないます。
申し込み方法は、MOSの公式サイト、または書店で配布されている専用の申込用紙を郵送して申し込みます。
試験会場は、エリアだけを選択でき、その後エリア内のどの会場になるかは選ぶことが出来ません。利用する会場は大学、専門学校、パソコンスクールなどが多いです。
1月23日(日)
2月13日(日)
2月27日(日)
3月13日(日)
3月27日(日)
4月10日(日)
5月15日(日)
6月12日(日)
7月24日(日)
8月14日(日)
9月11日(日)
10月9日(日)
11月13日(日)
12月11日(日)
随時試験は、MOSの公式サイトから試験会場を選び(随時試験会場検索ページ)、その会場が指定する日時に自分で申し込みをして受験します。
都道府県にもよりますが、会場はほぼパソコンスクールです。
会場によって、特定のバージョンの試験しか実施していなかったり、実施日数が極端に少なかったりするので、受験を希望する際は早めに会場の検索を行ってください。
P検
次のご紹介するのは、P検定(ぴーけん)です。MOSに比べると、知名度は多少劣ります。
P検協会(ICTプロフィシエンシー検定協会)という団体が主催しており、1級から5級まであります。
P検の概要
P検の特徴は、ワードやエクセルなどのソフトの操作だけではなく、コンピュータに関する知識やネットワークに関する知識、情報セキュリティに関する知識など、パソコンを使う上で知っておきたい知識が出題されるところです。
また、タイピングテストが試験に組み込まれている級もあり、入力が苦手な方には少し難しい資格です。
特定のソフトやバージョンの操作だけを学ぶのではなく、パソコン全体についての幅広い知識を問うのがP検という試験の特徴です。
P検の受験資格
P検を受験するのに、基本的に受験資格はありません。ただし、1級の受験には2級以上の合格が必要となります。
P検の受験料
各級の受験料は以下の通りです。
一般価格 | 学割価格 | |
社会人・大学生 | 高校生以下 | |
1級 | 10,000円 | ー |
2級 | ||
準2級 | ||
3級 | ||
4級 | ||
5級 | 無料 | 無料 |
10月に予定されている消費税のアップ後も、受験料の変更はないとのことです。
2020年4月より、受験料が上記金額に変更となるそうです。
また、5級は公式サイトから無料でWEB受験することが出来るので、試験の傾向をつかみ、自分が受ける級を判断するのにも使えると思います。
全体的に、MOSと比較してかなり安い点も魅力です。
P検の受験日程
P検には、MOSのような一斉試験はありません。
PASS認定校という所が試験会場となっており、検索ページから自分の都合の良い会場を選んで申し込みを行います。
試験会場の検索はこちらのページからどうぞ。
日商PC検定
最後に、日商PC検定をご紹介します。
この資格は、日商とついている事から分かるように、日商簿記の試験などを実施している日本商工会議所が主催しています。
日商PC検定の概要
日商PC検定には、「文書作成」「データ活用」「プレゼン資料作成」の3分野があり、それぞれ1級から3級にわかれています。
また、「文書作成」「データ活用」にはBasic(ベーシック)という基礎的なスキルを確認する級もあります。「プレゼン資料作成」にはBasic(ベーシック)級はありません。
文書作成(Word) | 1級 |
2級 | |
3級 | |
Basic(基礎)級 | |
データ活用(Excel) | 1級 |
2級 | |
3級 | |
Basic(基礎)級 | |
プレゼン資料作成(PowerPoint) | 1級 |
2級 | |
3級 |
日商PC検定の受験資格
受験資格はありません。下の級から受験しなければいけないといった縛りもありません。
日商PC検定の受験料
受験料は「文書作成」「データ活用」「プレゼン資料作成」すべて同一金額で、受験する級によって変わります。
消費税アップの対応については、今のところ公式ホームページに記載がありませんでした。
※2021年11月に確認したところ、変更がありましたので修正しております。
- 1級
10,290円→ 10,480円 - 2級
7,200円→ 7,330円 - 3級
5,140円→ 5,240円 - Basic
4,120円→ 4,200円 ※プレゼン資料作成はBasicなし
日商PC検定の受験日程
受験日程には統一試験と随時試験があります。
統一試験は毎月1回、第3金曜日に実施されています。
会場は各地の商工会議所パソコン教室が主ですが、一般のパソコンスクールでも実施している場合があります。
試験会場はコチラから検索してお近くの会場を探してください。
随時試験は、試験会場として認定されているパソコンスクールや専門学校などで実施されており、会場によって試験日が異なります。
同じくコチラから検索し、直接試験会場に申し込みを行ってください。
2020年度の統一試験実施日は以下の通りです。
- 10月2日(日)
- 2023年2月19日(日)
自分に合った資格の決め方
3つの資格について、特徴や違い、受験料などをお伝えしてきました。
実際自分はどの資格がいいか、決める為のヒントを次に解説していきます。
知名度の高い資格が欲しい
「就職・転職活動で書類選考に通るため、知名度の高い資格が欲しい」
という方には、断然「MOS」をお勧めします。日本だけでなく世界で通用する資格なので、知名度は3つの中で断トツです。
資格によっては面接官が「この資格はどんなことをする資格なの?」と聞いてくることがありますが、MOSであればそういった心配はほぼありません。
Microsoft Office Specialist(通称:MOS)のテキスト
MOSを受験したいと考えた方には、以下のテキストをおすすめします。付属のDVDで実施できる模擬テストで、100点を確実に取れるようになったタイミングで受験すれば、本番で7~8割は取れると思います。
富士通の緑のテキストが有名ですが、個人的にこちらのテキストの方が使いやすかったです。
オフィスのバージョン(2010、2013、2016など)によりテキストも異なりますが、今受験するのであれば2016が良いのではと思います。
ただ、DVDに入っている模擬テストのデータは、ご自宅のパソコンに入っているバージョンと同じでなければ動きません。ご自宅のバージョンを確認し、同じバージョンのテキストで勉強するのが合格への近道です。
※2013エキスパートレベルを希望される方は、Part.1とPart.2両方に合格が必要ですので、公式サイトで受験概要をよく確認してください。
パソコンの知識を幅広く身につけたい
ワードやエクセルの操作方法だけでなく、パソコンについて、インターネットについて、セキュリティについて幅広く知識を身につけたい、
そういう方には、「P検」をお勧めします。
ソフトの操作だけではなく、知識を問う問題がかなり出題されますので、勉強は大変ですが、実践力が身につく資格です。
P検のテキスト
P検は、級がたくさんありますので、まず公式サイトで「無料の5級」を受験し、自分に合う級を選ぶのが鉄則です。
お金をかけずに資格を取りたい
資格を取りたいけどあまりお金はかけたくない、
そんな方にお勧めなのは「P検」と「日商PC検定」です。
履歴書に書ける資格は3級から、というのが一般的ですが、そのランクの受験料が5,000円程度なのがこの2つです。
2級を目指すのであれば「P検」が1番安くなりますが、2級の学習にはそれなりの時間がかかります。
とりあえず資格に書ける3級で安く取りたい、という方は「P検」か「日商PC検定」をご検討ください。
日商PC検定のテキスト
お勧めの勉強方法
目指す資格が決まったら、効率のいい勉強方法を最後にお伝えします。
どの資格にも公式の参考書が用意されていますので、こちらを使って勉強するのが1番近道です。
実際の試験に即した内容になっていて、模擬試験が体験できるなどのメリットが沢山あります。もし公式以外で安いテキストがあったとしても、公式テキストの利用を強くおススメします。
受験が終わった方などが、メルカリや古本屋などで売っている場合もあります。多少書き込みがあったり折れ曲がっていたりしても、中身は同じです。気にならない方は、書店で参考書を買う前に、そういった所の情報収集もぜひおこなってください。
最後に、各試験の公式サイトをまとめておきますので、受験を希望される方はこちらからご確認ください。
皆さんが目指す試験に無事合格されることを、心から応援しています。
それではまた。