今回は、職業訓練への申込み方から、実際の訓練生活についてまで、訓練受講経験者の実体験をお届けしたいと思います。
わたしは、公共職業訓練と求職者支援訓練の両方を受講したことがあります。
公共職業訓練と求職者支援訓練の違いについては、こちらの記事でご確認ください。読み終わったらこのページに戻って来てくださいね。
公共職業訓練と求職者支援訓練では、受講の方法や細かい決まり、待遇など違う点が色々とありました。ただ、日々の受講生活自体はそんなに変わらないので、今回は公共職業訓練の体験談に絞ってご紹介したいと思います。
今回の記事は、
- 職業訓練に興味がある
- 職業訓練を受講したいと思っている
- 職業訓練でどんなことをするのか知りたい
という方に向けて書いています。
10年以上前の受講経験に基づきますので、現状と変わっている部分もあるかも知れません。その点はあらかじめご了承ください。
職業訓練に申し込むまでの手順
まずは、ハローワークで希望するカリキュラムの職業訓練を探しましょう。
ハローワークの入口や、相談窓口の入口、階段などに訓練のチラシが置いてあったり、壁に貼ってあったりします。また、ネットでも検索が可能です。コチラから地域や講座のジャンル、開講月などで検索してみてください。
申込みたい訓練のチラシを持って窓口で相談する
受講を希望する訓練が見つかったら、窓口で相談してみましょう。このとき重要なことは、
- 職業訓練の申込みは自分の住所を管轄するハローワークでしかできない
という点です。
次に講座の選び方ですが、わたしの場合、パソコンスキルがまったくなく、自宅にパソコンも持っていなかったので、とにかくパソコンスキル(ワード、エクセル)を身に付けられるコースを探しました。
時期にもよりますが、パソコンを勉強するコースは一番数が多いです。カリキュラムの内容や訓練が実施される場所などから、希望する訓練を見つけて窓口に向かいましょう。
オフィスソフトを勉強したいのにプログラミング講座を受講しても、恐らくついていけません。また、交通費が出るとはいえ、あまり遠い場所では毎日通うのが辛くなります。
カリキュラムの内容と場所は、しっかりと確認するようにしてください。
自分の順番になり、チラシを見せながら相談すると、ある訓練校を(何故か)熱く勧められました。
その訓練校でのカリキュラムは、
- ワード
- エクセル
- パワーポイント
- アクセス
- 就職支援
という内容でした。
オフィスソフトを幅広く学べるところが気に入って、勧められるままその訓練校に申し込むことを決めました。
必要書類の提出・ハローワーク職員との面談
申込むコースが決まったら、必要書類の提出とハローワーク職員さんとの面談があります。
書類提出に関しては、言われたものを用意すればいいので特に問題ありません。問題なのはハローワーク職員さんとの面談です。
ここで、
- この人はこの訓練を受けてスキルを身に付ける必要がある
と思って貰わなければ、訓練受講はできません。
わたしの知り合いで、本人は訓練の受講を強く希望しているにもかかわらず、どうしてもハローワーク職員さんが納得してくれず訓練を受講できなかった方がいます。
ハローワーク職員さんを納得させるには
パソコンの講座であれば、学んだパソコンスキルを活かしてどういう職種に就きたいか、WEBの講座であれば、WEBのスキルをどう活かして転職するのか、といったことをきちんと答えられれば、余程のことがない限り、申込みを阻まれることはない筈です。
このとき大切なことは、
- 話の筋が通っている(と思って貰う)
という点です。
今まで販売しか経験がない人が
「パソコンスキルを身に付けて事務職に転職したい」
と言っても、すんなりとは納得してくれません。具体的に「こう答えたら絶対大丈夫」という回答例を示すことは出来ませんが、経験から言うと
販売で経験したこと
↓
「パソコンができたらもっと仕事に役立てられたのに」と考えるようになった具体的な出来事
↓
上のような出来事にまた遭遇したとき、こういう対処をできるようになるためにパソコンスキルが必要という考え
↓
パソコンスキルを訓練で身に付けられたらこういう職種で就職活動をおこなっていくという考え
というような内容がきちんと話せたら、申込ませてくれないということはないと思います。
その他の業種の方も、上の流れを参考に考えてみてください。
- パソコンスキルを身に付けたいから
- 資格を取りたいから
はNGワードなので、申込みをおこなう際は一度じっくり考えてみてください。
入校試験(筆記+面接)を受ける
無事申込みをおこなった後、次に待ち受けるのが入校試験です。入校試験の内容は
- 筆記試験
- 面接
の2つです。
わたしのときは先に筆記試験を受け、内容は国語と数学でした。詳しい内容は覚えていませんが、中学生レベルの難易度だったと思います。
筆記試験のあと、受験番号順に5人ずつの集団面接がおこなわれ、
- 志望動機
- 今後どんな仕事に就きたいか
といったことを聞かれました。ハローワークの面談で話したような内容を、しっかりと話せれば問題ありません。
入校試験時の服装について
入校試験のとき、どんな服装で行ったらいいか迷う方もいると思います。わたしのお勧めはスーツ(せめてジャケットを羽織る)です。
スーツを着慣れていない人は、恥ずかしいと思うかも知れませんが、きちんとした格好をして行った方が絶対にいいです。
周りがみんな普段着で、自分ひとりスーツだったとしてもスーツを着て行きましょう。
合否の結果を確認
無事に入校試験を終え、数日待つと合否が自宅に送られて来ます。また、最近はネットでも発表がおこなわれています。
結果を確認し、めでたく合格であれば訓練受講の準備を、惜しくも不合格の場合はほかの訓練を受講するか検討をおこないましょう。
合格した場合、訓練初日に提出する書類や、初日に支払うお金(テキスト代など)の準備を速やかにおこなってください。
訓練校での日々の過ごし方
無事入校試験に合格し、いよいよ訓練の初日がやって来ます。特に決まりはありませんが、初日もスーツを着て行った方が無難です。
訓練校によっては、スーツじゃないとダメという考えの校長先生がいるからです。
訓練日程について
入校式(初日)に訓練の日程表が渡されます。日程の組み方は訓練校によりますが、だいたい最初のうちはビジネスマナーや就職支援の授業が多めです。
わたしが職業訓練の講座を担当する場合も、入校して1ヶ月近く経って、やっとパソコンの授業が始まる、といったことが多々あります。
クラスの構成
わたしが通ったクラスは20人弱くらいで、20代から50代まで。女性が7割でした。最初は名簿順に席が指定され、途中に2回席替えがありました。
パソコンの講座だったので、操作が遅れがちな人を後ろの席にしてサポートしやすくしたり、席替えをすることで色んな年代の人とコミュニケーションを取る練習をする、といった意味合いでの席替えだったようです。
色んな職種の経験者がいるので、前職の話を聞くだけでもかなり面白いです。
パソコンの授業の様子
パソコンの授業では、前にメインの先生、後ろにサブの先生がいました。操作に戸惑ったり遅れたりしていると、サブの先生がサッとやって来てフォローしてくれます。
あまり自分から手を挙げられないタイプの人にとって、サブの先生が気づいてサッと来てくれるのはすごく有難いんじゃないかなと思います。
また、サブの先生がフォローし辛い場所に座っている受講生を、隣の受講生が助けたりもしていました。
休み時間の過ごし方
わたしの通った訓練校では、女性陣みんなで一緒にお昼を食べていました。たまに仲のいい人と外に食べに行ったりもしました。
わたし自身が極度の人見知りなので、先生やクラスメイトと打ち解けられるか入校前はとても心配していましたが、社会人経験のある大人ばかりなので、みんな適度な距離感で特に問題なく過ごすことができました。
イメージとしては普通の学校と同じです。
パソコンを勉強する、資格を取る、などの目標があって来ているので、そこだけ考えていれば、人間関係はそんなに気にしなくても大丈夫じゃないかなとは個人的に思っています。
周囲とあまり親しくならず、ひたすら勉強を頑張っている受講生もいますが、わたしはそれもありだと思います。
日直・掃除当番もある
わたしが通った訓練校では、日直と掃除当番がありました。
教室内にキッチンがあったので、キッチンの掃除、トイレの掃除、階段の掃除、教室の掃除など、結構あちこち掃除していました。
男性陣がなにかと掃除をさぼろうとするところは、学生時代を思い出しました。
日直は、学生時代とほぼ同じで、授業の合間にホワイトボードを消したり、プリントを集めたりしていました。
就職支援対策
パソコンの授業以外で、就職支援の時間も割としっかりとありました。
就職支援の授業内容は
- 自己分析
- 書類(履歴書・職務経歴書)の書き方
- 面接の練習(ロープレ)
- 仕事に対する考え方(外部講師を招いての講話)
といったものでした。
どこの訓練校にも、専門の資格を持つキャリアカウンセラーが常駐、または委託契約していて、就職支援の講座はこの方が担当します。
キャリアカウンセラーが常駐している訓練校だったら、昼休みや放課後、就職支援の授業がない日でもいつでも相談できますが、授業がある日しか来ない場合は相談がし辛いという問題があります。
常駐かどうか気になる場合は、訓練校を選ぶ際に事前に確認しておくといいでしょう。
資格試験対策
資格を目指す訓練の場合、試験対策がどの程度あるかも重要です。
わたしは職業訓練に通うと決めたとき、「エクセルの資格だけは絶対に取ろう」と考えていました。
自習時間がある訓練校もある
わたしが通った訓練校では、朝と夕方に1時間程度の自習時間があり、自由にパソコンを使わせて貰えました。
また、講師として担当した別の訓練校では、ノートパソコンの貸出をおこなっていました。
自習時間の有無、パソコン貸出の有無は訓練校により異なります。自習やパソコンの貸出を希望する場合は、事前に訓練校に問い合わせることをお勧めします。
授業時間だけで資格取得は難しいので、朝と夕方の自習があったというのはかなり大きかったです。
パソコン資格の場合、訓練校で受験することが多いため、本番と同じ環境で勉強したほうが当日落ち着いて試験に臨めます。
模擬試験をやってくれる訓練校もある
資格試験の対策として、わたしが通っていた訓練校では模擬試験を何度もやってくれました。
過去問を使って、実際の試験と同じ時間で問題を解いてそれを採点してくれます。本番の流れもイメージしやすく、自分があとどのくらいで合格なのかも判断出来てとても助かりました。
後日別の訓練校に通っていた人に聞いた話では、模擬試験はなかったと言っていました。
模擬をやってくれるかは訓練校次第という事みたいです。もしそこが気になる方は、学校見学に行って質問してみてもいいかも知れません。
職業訓練を受講して変わったこと
職業訓練を受講して1番変わったことは、パソコン操作に自信が持てるようになり、それを面接で堂々と言えるようになったことです。
エクセルの資格も無事取れたので、書類選考も前より通るようになりました。面接でエクセルの資格を持っていることについて褒められることもあり、自信に繋がりました。
訓練を受講する前に目標としていた
- エクセルの資格を取る
- 訓練受講前より高い時給の仕事に就く
という目標は無事達成出来、わたしにとって訓練受講は大きな転機になりました。
頑張れば資格を取れるんだ、と自信がついたので、その後も独学で複数の資格を取得しました。自信を持つって本当に大事だなと、改めて実感しました。
職業訓練の受講は、わたしに「やれば出来る」という自信をくれました。そのお陰で、現在はパソコン講師という仕事をさせて貰っています。
もし自分に自信が持てず、転職活動に悩んでいる方がいたら、訓練を受講するという選択肢もあります。何か新しい方向性が見いだせるかも知れません。
今回は、自身の経験を踏まえた職業訓練体験記をお届けしました。あくまで個人の体験なので、絶対にこの通りではない、ということをご了承ください。
それではまた。