こんにちは。
今日は、エクセルを使いこなす上で避けては通れない
- 相対参照(そうたいさんしょう)
- 絶対参照(ぜったいさんしょう)
について、初めて聞いた・見たという方や馴染みの薄い方にもできるだけ分かりやすく解説してみたいと思います。
参照にはもう1つ、複合参照(ふくごうさんしょう)というものもあるんですが、全部一度に解説すると長くなるので、そちらはまた別途解説記事を書く予定です。
相対参照(そうたいさんしょう)
最初は相対参照(そうたいさんしょう)から見ていきましょう。
エクセルで簡単な計算式や関数を使ったことのある方なら、無意識に相対参照をおこなっています。
エクセルで計算式(例えば足し算)を入力し、下のセルにコピーする、というのはよくある操作です。その時、足し算の対象となるセルが勝手に移動して、正しい答えが返って来ていますよね。
言葉だけだと分かりづらいので、画像を見ながら考えてみましょう。
相対参照の式
1週間の売上を管理する表があります。表は午前と午後に分かれており、1日の合計をE列に出すようになっています。
パソコンが使える環境の方は、エクセルで同じように表を作って確認してみましょう。
その際、セルの位置がずれると答えが合わなくなりますので、同じ位置に入力するように気を付けてください。
セルE4に月曜日の午前と午後の合計を出しましょう。SUM関数をまだよく知らない、という方もいると思うので、足し算で式を立ててみます。
セルE4を選択し
=C4+D4
と入力して[Enter]キーを押しましょう。C4とD4に入力されている数値の合計が計算されていると思います。
計算式を入力する際は、入力モードを[A](半角英数)の状態にするようにしましょう。
パソコン画面の右下に[あ]または[A]と表示されていると思います。もし[あ]になっていたら、式を入力する前に[半角/全角]キーを押して必ず[A]の状態にしてください。
[半角/全角]キーは、キーボードの左上のほうにあります。
月曜日の合計が出たので、残りは火曜日~日曜日までの6箇所です。
あと6回同じ計算式を入力しても間違いではありませんが、面倒なのでオートフィル機能を使って式をコピーしましょう。
計算式のコピー
コピーしたい計算式が入力されているセル(セルE4)を選択し、
セルの右下角にマウスのカーソルを合わせてください。
「+」(黒いプラスマーク)の状態で下にコピーします。
日曜日のセル(E10)までコピーすると、それぞれのセルに午前と午後の合計が正しく表示されています。
相対参照の確認
式をコピーすると、足し算の対象セルが自動的にズレて、正しい答えが表示されています。この動きを相対参照と言います。
各セルの計算式を確認してみましょう。
入力した計算式や関数を一度に確認したい時は、
[数式]タブ→[ワークシート分析]グループの[数式の表示]をクリックすると、ワークシート内の計算式や関数が表示され、確認できるようになります。
(※上記の操作はExcel2016の場合です。バージョンの違いによって、ボタンの場所が違う場合があります。)
上記の方法で数式を表示すると、下図のような表示になり、計算式を一覧で確認することができます。
この操作をおこなうと、勝手に列幅が広がってしまいますが、再度[数式の表示]ボタンをクリックして設定を取り消すと元に戻ります。
確認するだけなので、列幅のことは気にせず先に進みましょう。
セルE4に入力した計算式では、
C4+D4
とセルを指定していますが、式を1つ下にコピーしたセルE5では
C5+D5
という風に、足し算をするセルがズレています。
最初の計算式ではセルC4とD4を指定していたにも関わらず、どうしてC5とD5に変わるのでしょうか?
計算式で参照したセルは位置関係で判断されている
セル参照を使った計算式や関数では、セル番地(C4、D5などのこと)ではなく
計算式や関数が入力されているセルとの位置関係
で判断されています。図で見てみましょう。
計算式が入力されているセルE4から見て、セルC4は2つ左、セルD4は1つ左にあることがわかります。エクセルは、この位置関係で計算するセルを判断しているため、
1つ下のセル(E5)に式をコピーすると
というように、
2つ左のセル(C5)+1つ左のセル(D5)
で計算がおこなわれます。
「C4で指定したセルが、どうして式をコピーすると勝手にズレるんだろう?」とパソコン初心者の頃はかなり悩みました。
たくさんExcelを触っている内にこの「位置関係で判断している」という事に気づき、スッと納得できました。
相対参照まとめ
図を見ながらだと、少し分かりやすかったのではないでしょうか。
エクセルは、使用者が何も設定しなければ常に相対参照の状態です。まずはこのことをしっかり理解してから次に進みましょう。
絶対参照(ぜったいさんしょう)
次は絶対参照(ぜったいさんしょう)です。
「絶対」参照というくらいなので、指定したセルを「絶対に」参照します。つまり式のコピーをおこなってもセルはズレない状態ということです。
こちらも図を使って確認していきましょう。
絶対参照の式
まずは数式の表示を取り消します。以下を参考に操作してください。
[数式の表示]を取り消したい場合は、
[数式]タブ→[ワークシート分析]グループの[数式の表示]を再クリックすると、数式表示になっていたセルが計算結果の表示に戻ります。
(※上記の操作はExcel2016の場合です。バージョンの違いによって、ボタンの場所が違う場合があります。)
広がっていた列幅も、元に戻りました。
絶対参照用に、少しデータの内容を変更していきます。エクセルでデータを作っている方は、同じように変更をお願いします。
データの変更
まず、午前と午後と入力されている部分を
- 午前 → 金額
- 午後 → 数量
と変更してください。このとき、[Enter]キーではなく[Tab]キーを使って文字の確定をおこなうと、下ではなく右にセル移動してくれ、次の入力がスムーズにおこなえます。
セルC3に金額と入力し、
[Tab]キーで確定すると右隣のセルD3に移動するので
そのまま続けて「午後」を「個数」に修正しましょう。
個数と入力したら、次の確定は[Enter]キーでおこないます。すると、セルC4に移動してくれ、次の入力がまた楽になります。
入力文字の確定に[Enter]キーだけでなく[Tab]キーも併用すると、
- 入力が楽
- マウスをいちいち持たなくて済む
- 時間短縮になる
というメリットがありますよ。
- 入力確定後、下に移動したいときは[Enter]キー
- 入力確定後、右に移動したいときは[Tab]キー
- [Tab]キーで右に移動し、最後に[Enter]キーを押すと最初に[Tab]キーを押したセルの下に移動する
続けて、曜日の欄(B列)と金額の数値を変更していきます。画像を参考に修正してください。
金額を変更すると、合計の数値も自動的に変わっていきましたよね。エクセルを使うメリットはこういうところにあります。
B列のおにぎり名は、データに整合性を持たせるために修正していますが、曜日のままでも気にならない方はそのまま先に進んでも大丈夫です。
データの追加
データの変更が終わったら、少しだけデータの追加もおこないます。以下の画像を参考に追加してください。
データの削除
合計欄には現在、足し算が入力されています。このまま計算式を上書きしても問題ありませんが、わかりやすいように一旦式をすべて削除します。
計算式が入力されているセルをすべて選択し、
[Delete]キーで削除してください。
これで準備は完了です。このデータを使って、消費税込みの金額を合計欄に計算していきましょう。
※計算式を削除する際、[Delete]キーではなく[BackSpace]キーを使うと、すべてのデータをきちんと削除できないため、必ず[Delete]キーを使いましょう。
計算式の入力
このあとおこなう計算は
- 金額×個数×消費税
です。
答えを表示したいセルE4を選択し、
=C4*D4*E1
と入力します。まだ[Enter]キーで確定はしないでください。
エクセルで掛け算をおこなう場合、「×」の記号が「*」(アスタリスク)に変わります。
セルE1を式に入力したらすぐに、[F4]キーを1回押しましょう。
$(ドルマーク)には、その記号の後ろを固定する役割があります。「$E」となっていればE列が固定され、「$1」となっていれば1行目が固定されます。
「$E$1」の場合は、E列も1行目もどちらも固定されるため、式をコピーしてもセルE1からは絶対に動きません。
絶対参照の確認ができたら、[Enter]キーで式を確定しましょう。
計算式のコピー
計算式をセルE10までコピーして、計算結果を確認してみましょう。きちんと計算がおこなわれていると思います。
小数点以下が表示されているセルと、表示されていないセルが混在していますが、簡単に調整できますので、ここでは気にせず先に進みましょう。
絶対参照の確認
相対参照のときに使った[数式の表示]ボタンを使って計算式を表示し、絶対参照を設定したセルE1がどうなっているか確認してみましょう。
金額が入力されているC列と、個数が入力されているD列は、それぞれ4、5、6…とズレていますが、絶対参照を設定したE1だけは、ずっとE1のままコピーされていることがわかります。
もし絶対参照を設定しなかったら…
もしセルE1に絶対参照を設定しなかった場合、下図のような状態になり、正しい計算ができません。
また[数式の表示]ボタンを使って式を表示してみると、セルE1が、E2、E3、E4…とズレていることがわかります。
消費税の計算に使う「1.08」は、セルE1にしか入力されていないため、ここからズレないように絶対参照を設定する必要があります。
絶対参照を設定する理由が、何となく理解出来たのではないでしょうか。
絶対参照を設定し忘れた場合の修正
もし、絶対参照を設定せずに式を確定してしまっても、後から修正すればOKです。修正方法もあわせて確認しておきましょう。
必ず先頭の式から順番に確認していくので、計算式が入っているセルの中で一番先頭にあるセルE4の上でマウスをダブルクリックすると、
計算式の入力状態に戻り、計算式にどこのセルを使っているかが確認できるようになります。
E4に入力した計算式は正しかったので、次にE5の計算式を確認します。
先ほどと同じように、セルE5をマウスでダブルクリックすると、紫枠の部分がE2にズレているのが確認できます。
セルE2には何も入力されていないため、エクセルに「0」と判断されてしまい、
=100×40×0
という計算がおこなわれています。掛け算は「0」を掛けると答えが「0」になってしまうため、セルE5の答えも「0」になります。
このズレてしまったセルE2を、消費税「1.08」が入力されているセルE1に戻す必要があります。このとき、修正は必ず最初の式でおこなってください。
再度、セルE4の式をダブルクリックで表示し、E1の部分にカーソルを立てます。
そして[F4]キーを押して絶対参照にしてから
[Enter]キーで確定してください。
セルE4を再度選択し、オートフィルで式のコピーをおこないましょう。今度は正しい答えが表示されるはずです。
$(ドルマーク)の役割
$(ドルマーク)の役割について整理しておきましょう。
絶対参照を設定する(=[F4]を1回押す)と、
$E$1
というように、Eの前と1の前にそれぞれ$(ドルマーク)がつきます。
最初の$(ドルマーク)はE列を固定し、2つ目の$(ドルマーク)は1行目を固定しています。
$(ドルマーク)は直後の列(または行)を固定する
もう1つの参照方法である複合参照(ふくごうさんしょう)では、この$(ドルマーク)のつけ方が非常に重要になって来ます。
そちらはまた後日、解説する予定です。
絶対参照まとめ
絶対参照の設定方法や設定する理由、設定したときと設定しなかったときの違いについて順番に確認してきました。
慣れるまでは、式をコピーしてはじめて、絶対参照が必要だったと気づくことが多いです。その場合は式を修正すれば問題ありません。
「最初からきちんと設定しなければいけない、間違えてはいけない」と考えすぎないことが大事です。
間違えたら修正すればOK。
何度も式を立てて沢山間違えると、[Enter]キーを押す前に「あ、ここは絶対参照にしなきゃ」と気づけるようになります。
まとめ
いかがでしたか?この記事を読む前と読んだ後で、少しでも参照についての理解度が変わったでしょうか。
今回解説した相対参照と絶対参照が理解できたら、次は複合参照にチャレンジしてみましょう。そちらの記事が出来たら、こちらにもリンクを張っておきます。
それまでしばらくお待ちください。
それではまた。